専門家が選ぶマンション共用部の光の色とは
照明の光の色で雰囲気が変わる?
ショッピングモールなどに入っている店舗をよく見てみると、「白っぽくてスッキリしている薬局」、「オレンジっぽくて落ち着いたカフェ」など業種によって雰囲気が全然違うことに気づかれると思います。これは照明(LEDや蛍光灯など)の光の色によって店舗の雰囲気をつくり、お客様にどんな印象を与えたいかということまですべて計算されています。店舗だけでなく、マンションの共用部においても照明の色と印象をコントロールできればガラッと雰囲気を変えることができます。色の種類と雰囲気についてみていきましょう。
照明の光の色の種類は大きく分けると5種類
昼光色(ちゅうこうしょく)
昼白色(ちゅうはくしょく)
白色(はくしょく)
温白色(おんぱくしょく)
電球色(でんきゅうしょく)
白色を中心に上にいくほど青白く、下にいくほど赤っぽくなります。自然光では日の出・日の入りの色合いが電球色、正午の太陽光が昼光色に当たります。
照明の光の色が与える雰囲気
一般的な生活リズムでは日の出とともに起床し、正午になるにつれてより活発的に、そして夜になると就寝となります。つまり日の出・日の入りはリラックスモード、正午近くには活動モードということになります。実は街中でもこのリズムが活用されています。オフィスや学校など活動モードになる場面が多い施設では昼白色や昼光色が多く使われています。逆にカフェやホテルのロビーなど落ち着いた雰囲気でお客様にリラックスしてもらいたい施設では電球色が多く使われています。普段何気なくみている風景も改めて照明を意識して見てみると結構おもしろいですよ!
色温度(ケルビン)とは?
先程、5種類の光の色を紹介しましたが、この光の色を物理的な数字で表したものを「色温度」といいます。電球のパッケージに書いてある”2700K”や”6500K”というのがこれに当たります。単位はK(ケルビン)といい、数字が低いほど赤っぽく、数字が高くなるほど青白い光になります。先程の5種類の色を色温度で表すと
昼光色(6700K)
昼白色(5000K)
白色(4200K)
温白色(3500K)
電球色(3000K)
おおまかにこんな感じになります。家電量販店などの電球のサンプルが置いてあるコーナーで実際の色と色温度を比較してみると自分の好きな色が数字で表現できるようになります。(メーカーによって多少の前後はありますのでご注意ください)
マンション共用部においての光の雰囲気
先程、活動モードを要求される施設では白色系、リラックスモードを要求される施設では暖色の電球色がよく使われているということを書きましたが、マンションの共用部においてはどうなるのでしょうか。
マンションの共用部が点灯されるのは主に夕方から夜、外が暗くなってきてからになります。一般的な1日の流れであれば、仕事や学校の部活を終えて疲れて帰ってくる人たちをリラックスしたマンションエントランスの雰囲気で迎えるという点で電球色が向いているかと思われます。実際、名古屋地区のマンションを歩きながら観察してみても電球色を使っているところが多いように感じます。(あくまで筆者の主観の範囲ですが…)ただ、中には白色系を使っているマンションもあります。白色系を使っているマンションはどのような狙いがあるのでしょうか?
共用部に白色系を使っているマンションはどんなところ?
マンションの通路によく使われている20Wの蛍光灯です。よく見かけますよね?特に築年数が古いマンションでよく見かける蛍光灯ですが、蛍光灯の歴史と白色系を使う理由というのが大きく関係しているのです。蛍光灯は発売当初は白色しかありませんでした。その後、昼白色が発売され、数年後に電球色の蛍光灯が発売されたという歴史があります。つまりマンションを建てたときには白色の蛍光灯しかなかったという時期は必然的に白色になるということになります。色を選択する余地がなかったのですね。その後、そのままの流れで白色系のランプを使い続けているというオーナーさんも多いのではないでしょうか。こういった要因でマンション共用部に白色系の蛍光灯が使われているということが考えられます。
その他の理由
その他には、壁面の色によって光の色を使い分けているケースもあります。→(LEDでマンション壁面の色を際立たせる方法)例えば、壁面が茶色のタイルや木目であれば電球色の方がより素材の色が際立つので雰囲気も良くなります。対照的に壁面が真っ白の場合は昼白色の方がより鮮やかに見えます。また、壁面が明るいと、人間の感覚的には空間全体が明るく見えるように感じるので、そういった効果を期待できるのも昼白色のメリットになります。ただ、白い壁面であってもひび割れがあったり汚れがあるとその汚れも同時に目立ってしまい逆効果になることもあります。また、水色や緑など色がある壁面の場合は電球色にすると色が混ざってしまい壁面が違った色に見えてしまうということもあります。こういった理由から昼白色の選択をしているマンションもあるので一概に電球色がいいということでもないようです。ただ、エントランスが木目調の壁面などであれば、より落ち着いた雰囲気で壁面の素材も際立ちホテルのロビーのような高級感を感じるところもあるので、その場所に応じて使い分けるのがベストですね。
※写真は電球色です
マンションをLED化するときが空間の雰囲気を変える絶好のチャンス
毎月の電気代を削減できるというメリットからマンションのLED化を考えられるオーナーさんも多いかと思います。LEDは電気代が70%近くも削減でき寿命も長いため、ランプ交換の手間もなくなります。このようなメリットはどこの情報を見てもよく出てきますが、メリットはこれだけではありません。隠れメリットとして、マンションのイメージチェンジをする絶好のチャンスであるということです。なぜなら、同じLED器具であれば何色の光を使っても金額は変わらないからです。つまり電気代を削減し、長寿命によって手間を減らすというLEDの恩恵を受けながらもマンションのイメージチェンジによって雰囲気を良くできるということです。ただ照明をLEDにするだけではもったいない!もしかしたら雰囲気が良くなることにより入居率が上がる可能性もあるかもしれません。照明はただの「あかり」ではなく、「空間」を作ります。その「空間」が居心地がいいものであればその空間にいる人にも伝わります。照明にはそのような力があります。LED化をご検討されているのであれば、是非マンション共用部を「空間」として意識してみてください。もし迷われているのであればファイン・ライトサービスがご相談に乗らせていただきます!
光の色選びのポイントまとめ
1.人間の活動リズムに応じた心理的な影響があるため、活動的な場所かリラックスを求めるかで雰囲気をコントロールする
2.光の色によって壁面の色が鮮やかになったり、くすんで見えたりするので、壁面に応じて使い分ける
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